「バジリスク ~桜花忍法帖~」用語集
高野山慈尊院村
紀伊国(現在の和歌山県)にある山村。八郎、響をはじめとする甲賀、伊賀の若き忍たち、そして教育係の転寝、滑婆が住まい、日々己の忍法に磨きを掛けている。
天膳桜
慈尊院村にそびえ立つ一本の桜の木。『枯れることがない』という伝承があり、かつて同じく『死ぬことがない』と謳われた薬師寺天膳の名を冠している。
黒鍬衆
将軍家に召し使える、伊賀の流れを汲む忍たち。忍としての地位は決して高くはないようだが、手練の武士たちを一瞬で葬り去るほどの実力を持つ。理由は不明だが、将軍家光の実弟である忠長への奇襲を企てる。
忍法『浮き雲』
黒鍬衆が得意とする忍法。自身の体を雲のように浮かすことが可能。しかも、体を糸などで吊るす原理でもないようで、三次元的な攻撃で相手を翻弄する。
甲賀五宝連
八郎を棟梁とする、甲賀の精鋭たち。幼いながらも圧倒的な術を持つ八郎に一目置き、付き従う。それぞれが己の特性を生かした忍法を持ち、日々精進している。
人別帖
かつて起こった、三代将軍跡継ぎ問題から派生した“忍法殺戮合戦”、その開戦の際に甲賀、伊賀の棟梁にそれぞれ渡された巻物。合戦の参加者たる甲賀、伊賀の十傑の名が書かれている。
盾眼術
響が親から譲り受けた特殊な術。母の朧が持っていた、相手の忍法を強制解除する“破幻の瞳”とは特性が違い、瞳に映る相手の“敵意”を無くし、戦闘不能状態へと陥らせる。
矛眼術
八郎が親から譲り受けた特殊な術。瞳に映る相手の“敵意”をそのまま返し、相手は攻撃対象が自分自身だと思い込み、その刃を己へと向けてしまう。
伊賀五花撰
響を棟梁とする、伊賀の精鋭たち。響の術に信頼を置き、さらには響を娘や姫のようにかわいがり、甘やかす一面もある忍らしからぬ者たち。しかしその実力は本物で、とくに守備任務において右に出る者はいない。
桜花
“矛眼術”を持つ八郎と、“盾眼術”を持つ響が見つめ合い、感情が高ぶったときに発生する謎の現象。二人は共に、その発生要因や仕組み、そもそも“何が”起こっているのかを特定しきれておらず、特に八郎は発生に恐れを抱いている。分かっているのはそれが“大災害”を生む可能性があることだけ――。
おとし茶屋
高野山麓の目抜き通りにある茶屋。慈尊院村の襲撃を受けた後、滑婆をはじめとする伊賀の女忍者たちが資金調達のために始めたのだが、滑婆たちの器量よさも相まって、繁盛具合は上々のよう。
叢雲
おとし茶屋の、紀ノ川を挟んだ対岸に突如現れた奇怪かつ面妖なる城郭。出現直後は野次馬や見物客がにぎわう程度の影響しか生まなかった。しかし、紀州藩がその討伐に乗り出し、大筒を向けたとき、その異様な城は本来の目的のために蠢き出す。
雨衆
叢雲を守備する謎の衆。出自等は一切不明だが、甲賀、伊賀の忍たちが今まで遭遇、対峙した相手とは、一線を画す実力を有する。
お登志
滑婆が主に潜入、諜報任務の際に用いる偽名。由来は城攻めを受けた際、要人を城から無事“落とし”、逃がすことを得意としていたため。
紀州藩
紀伊国を統治している藩。叢雲が現れた際、大軍勢を挙げ、大筒による砲撃で撃破せんと試みたが、それが思わぬ結果を生むこととなる。
阿修羅
転寝が発明した自走忍具。日々衰える自身の体のために開発したもので、もっぱら転寝は阿修羅に乗って移動する。
五郎左
甲賀の若き忍たちが戦闘の中で対峙した遊撃手“鷹の五郎左”から鹵獲した大鉄砲。それは蓮の手に渡り、蓮の狙撃の腕と相まって、任務の重要な役割を担うまでに成る