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スペシャル

「バジリスク ~桜花忍法帖~」リレーインタビュー 第1回
伊賀響役 水瀬いのり

—響はどのような役作りで臨まれたのでしょうか?
水瀬オーディション原稿を読んだときに、イラストはとてもかわいらしいのにセリフからはこの時代を生き抜きたいという内面の強さや生きる力が感じられ、普通の女の子としての優しい一面と瞳術を使う忍としての凜とした一面の両方をしっかり演技に落とし込みたいと思いました。

—第1、2話の幼少期の響についてはいかがでしたか?
水瀬里の大人たちはもちろん、蓮、涙、現もやや大人っぽく描かれていますし、幼少期は周囲に大人っぽいキャラクターが多いんです。そことの対比というところで、響は子どもながらに活発な部分や楽天的な部分を出すようにしました。第1、2話の響は殺伐としたシーンが待ち受ける中でのちょっとした癒しポイントでもあるので、気負わずに演じるのも課題の一つでしたね。

—響には無垢な印象も受けました。
水瀬厳しい現実をまだ理解しきれてないんだと思います。何かすごい力を持っているけれど、それがどんな力を及ぼすのか、なぜそれがあることで八郎と一緒にいられなくなるのか、まだよくわかっていないんです。どちらかというと、私は八郎と一緒にいたいだけなのに……という、感情のほうが先行しているのかなと思います。八郎を思う気持ちや里のみんなと一緒にいたいという無垢な気持ちは響を演じる上で大事な要素なので、それは幼少期だけではなく大人になってからも引き継ぐようにしています。

—音響監督からオーダーされたことなどはありますか?
水瀬自分が用意したプランを大きく修正するということはなかったです。響はシリアスなシーンになってもあまり暗くなりすぎず、希望を忘れないようにしようと改めて意識したくらいです。

—第1、2話での八郎との関係性についてはどのようにご覧になりましたか?
水瀬思いの大きさは同じですけど、アプローチの仕方が全然違うなと感じました。響は思ったことをなんでも伝えたいという女の子なので、明るく真っ直ぐに気持ちを伝えようとします。対して、八郎は自分の気持ちに正直でありながらも達観しているところがあり、はっきり思いを口にするわけではないんです。でも、響だけにしか見せない、響だけがわかるような表情を見せるので、この二人の間には心と心で結ばれた独特の空気感があるなと思いました。滑婆と転寝が二人を見守ろうとする気持ちがすごくわかります(笑)。無理にくっつけなくても、自然と惹かれ合っているような空気感があるんです。

—八郎に向ける響の眼差しもすごく愛情に溢れていますよね。八郎との掛け合いではどんなことを意識していますか?
水瀬響は誰に対しても優しく温かい女の子ではあるんですけど、誰と話していても頭の片隅には八郎がいるんだろうなと感じます。八郎はいまどこにいるんだろう、八郎に会ったら何を話そう……みたいなことを常に考えているような気がして(笑)。実際、八郎を前にしたときの表情や八郎に向かって駆けていく姿は完全に恋する女の子なので、そのときの嬉しい気持ち、はやる気持ちというのは意識するようにしています。

—その一方で、八郎は響を思いながらも避けようとしています。
水瀬幼少の響にとっては「どうして?」ということでしかないんですよね。なんでこんなに仲が良くて、一緒にいたいと思っているのに、里を出るなんて言い出すんだろうって。だから、必死に自分自身の思いを伝えようとしていますし、瞳術があっても平気だって説得するんですが、やっぱり八郎はお見通しなんでしょうね。二人が一緒にいることの危険性を理解しているので、自分の意志を貫こうとする。二人の矢印がうまい具合に内側と外側に向いているのが、もどかしいです!

—それでも食い下がろうとする響もまたすごいです。
水瀬「八郎とならどうなってもいい」なんて、12歳の女の子が言えるセリフじゃないですよね(笑)。でも、それだけ愛に溢れているんだなって思います。

—響自身は、それほど瞳術に恐怖心を抱いていないということもあるのでしょうか?
水瀬たぶんですが、瞳術に限らず自分たち二人ならどんな問題や恐怖も乗り越えられると考えていますよね。瞳術、伊賀、甲賀……一切のしがらみを超えた信頼があるからこそ、八郎と一緒にいたいという気持ちをあれだけ強く出せるんだと思います。

—水瀬さんからご覧になって、八郎はどんな印象ですか?
水瀬この先の話にもなってきますが、とにかく強いので、八郎が出てくると「これはもう大丈夫!」という謎の安心感があります(笑)。冷静沈着で取り乱すことがなく、どんなときも隙を見せないところがすごくカッコいいですね。同時に、優しいからこそ不器用だったり、何かが足りなかったりする部分が愛おしいんです。たとえば、響に対していろんなことを思っているはずなのに、言葉が足りなくてすべてを伝えることができない、そんな不器用さがあって。それが八郎らしさだと思いますし、響とは正反対だなと思います。台本上でも八郎が黙れば黙るほど響が喋るということが多いですし、八郎のセリフ自体、「……」だけということもあって。演じる側としてもなかなか掴みどころがなく、一筋縄ではいかないなと感じることがあります。ただ、その雰囲気も八郎の魅力なので、響としては一生懸命すがるような思いでアプローチするようにしています。振り向かせるのが本当に難しい男の子です!

—となると、この先もなかなか苦労しそうですね。
水瀬そうですね。ただ、響のためを思っての行動がこの先もたくさん出てきますし、すごく優しい男の子であるというのは変わらないと思うので、そこは安心しています! 響を演じる身としては気持ちをちゃんと言葉で伝えてほしくて悶々とする部分もありますが(笑)、ぜひ八郎の思いにも注目していただきたいです。

—また今後、響と八郎は年齢の変化があると思いますが、どのような変化を意識しましたか?
水瀬快活で無垢だった響も状況が変化することで伊賀の棟梁としての自覚を持つようになります。大人になったからといって性格が大きく変わるというわけではないんですけど、幼少期の良いところは残しつつ、そこに大人の女性としての凜とした部分や落ち着いた雰囲気を大事に加えていっているので、魅力的な女性に成長していく姿を楽しみにしていただけたら嬉しいです。

—響と八郎以外で注目しているキャラクターは誰ですか?
水瀬蓮、涙、現の三人ですね。蓮はずっと響に尽くしてくれますし、涙、現の関係性も微笑ましくて、この三人が側にいてくれると安心します。演じられている三人(早見沙織、上田麗奈、佐倉綾音)も普段よくご一緒する仲間なので、よりリラックスして掛け合いができるのも大きいですね。あとは、成尋衆が気になります! 忍術というものの概念を覆す、ある意味ヘンテコ集団なんですけど(笑)、きっと皆さんもどんな術を見せてくれるのか気になるはずです。本気になったとき、どれほどの力をぶつけられるのかという恐怖がありますし、そういう意味ではキャスト表に成尋衆の皆さんのお名前があると、今日は何か起こるかもしれないというドキドキ感でピリっとしますね。。

—響と八郎について、今後注目してほしいポイントは?
水瀬八郎の決意に対して響も頑張ってついていこうとするんですが、そのときに響が感情的になって発する言葉があるんです。その子どもっぽさが気に入っているので、ぜひオンエアでチェックしていただきたいです。

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